3月25日 原ゆうじ予算への反対討論

R2年度、予算反対討論                  R2,3,26 政策実現フォーラム

議案第63号 令和2年度松戸市一般会計予算 及び 議案第70号 令和2年度松戸市都市計画事業新松戸駅東側地区土地区画整理事業特別会計予算 には「反対」の立場で会派を代表して討論を行います。
尚、第70号を除いた議案第64号から、議案第73号までの各会計予算につきましては、各事業の重要性を鑑み「賛成」とする事を申し添えます。

1.新年度における市税収入の見通しと、コロナによる減収のリスクについて

それでは、反対の令和2度松戸市一般会計予算と新松戸土地区画整理事業特別会計についてです。
まず、コロナウィルス感染拡大による影響が心配される歳入について。
さて、本市歳入の根幹をなす市税は、今回の予算で、前年比約5000万円増の690億円とほぼ前年通りの収入を見込んでいます。しかし、予算編成時、おそらく1月前後と思いますが、その時期から急速に世界的に新型コロナウイルス感染が拡大いたしました。
そして現在でも歯止めがかかっていない状況であり、まさに世の中が一変したようにも感じております。
こうした状況下、経済への影響について経済再生担当大臣は3月19日に記者会見を行い、「経済への影響は非常に大きなものがあり、リーマンショック並みか、それ以上になるかもしれない」と相当な危機感を表明しております。こうした先行き、景況悪化が見込まれることから、審議のなかで、2008年に発生したリーマンショックの際、市税に対しどのような影響があったかについて質問いたしました。
答弁では、リーマンショックの市税影響額として、2009年の決算額と比較し、翌年はマイナス6.3億円、2011年はマイナス18.5億円と、悪影響があったことが明らかとなりました。
こうした過去の経験から、今回の影響が、リーマンショック以上となれば、2年間でも24.8億円以上の減収見込まれることになり、そもそも近隣他市に比べ担税力に劣る本市にとっては大きな痛手となることが予想されます。
 こうした市税収の見通しが暗い中、考えなければならないのは、ここ10年で、増え続ける本市の借金と市から提案されている大型事業についてです。
 「本市市債残高限界値の目安は、これまでの一般会計市債残高のピーク額、約1436億円」との考えが当局から示されているのはご案内の通りですが、しかし、近年の本市プライマリーバランスはマイナスであり、大型事業を行っていなくても借金は増えている状況です。こうした状況下で、大型事業を行うなら本市財政はどうなるのでしょうか?不安は尽きません。
昨年の予算審査において、我会派から「市は『市役所建て替え』『新焼却炉建設』『新松戸東口区画整理』といった大型の3事業を推進するとしているが、借金の目安内でできるのか」と質問したところ、「3事業については、現段階ではできるもの」との答弁がありました。
しかし、今回の代表質問での同趣旨の質問に対し、今回は「必要があれば、目安を超えてもおこなってまいりたい」との答弁に変わっていました。
しかしながら、市税収入も見込みが厳しい状況下、このよう安易に目安突破に転じようとする市の姿勢は看過できるものではありません!

3.修正案について
 こうした考えから、我会派は一般会計予算の委員会採決にあたり、修正案を提出しました。修正案の内容は、「松戸駅周辺地域活性化事業の新拠点ゾーン整備基本計画策定業務委託他2021万円」、
「土地区画整理関係業務3390万円」、「新松戸駅東側地区土地区画整理事業特別会計への繰り出し金2億2587万円」の大型事業に関連する予算を修正削除するとしたものです。
しかし、修正案は委員会採決において賛成少数で否決されてしまいました。
我会派としては修正案で削除提案した事業以外は賛成と考えておりましたが、削除提案した大型事業関連予算が本市にとり、あまりに重大な問題であるとの判断から、苦渋の決断ではありましたが、予算全体に「反対」をすることとなりました。
以上、予算全体に対する考え方を述べさせていただきましたが、ここからは、修正しようとした事業の問題点、認めがたい理由の詳細についてそれぞれ申し上げます。

4.松戸駅周辺地域活性化事業の新拠点ゾーン整備基本計画策定業務委託他について

 まず、一つ目、松戸駅周辺活性化事業、新拠点ゾーン整備基本計画策定業務委託料他についてです。
2点の観点から問題を指摘させていただきます。

まず「事業費」の観点からです。
昨年の代表質問で明らかとなったように、約460億円という巨額な事業費がこの新拠点ゾーン開発には見込まれています。まさに市の将来を左右するような大きな大きな事業です。
 また、災害時、本部が置かれ司令塔の役割を担う現市庁舎は耐震不足であり、市民、職員の命を守るためにも早急な改善は待ったなしの状況です。なので、市役所の移転候補地の一つでもある新拠点ゾーン開発を進めるのか否かの判断は急がなければなりません。そのためにも事業費の詳細、とりわけ市の負担額、市債発行額の見込みを早く明らかにしなければならないと考えております。こうした考えから委員会質疑でこの点をあらためてお聞きしましたが、「現段階でお示しすることはできません」との相変わらずの答弁、そこで、「基本計画では記載されるのか?」とお聞きしましたが、「記載できない」とのお答えでした。しかし、なぜなのでしょうか?市役所の耐震不足は喫緊の問題であるのは執行部も当然そう認識しているはずです。昨年におおよその事業費が明らかになり、そして一年が経ちました。なのに、新拠点ゾーン開発の一番の課題、問題である「市の負担額と市債発行額の見込み」は今なお明らかになりません。
この一年間、市は一体何をしてきたのでしょうか?
それとも多額の費用が明らかになれば、先行する新松戸区画整理事業などに影響が出るのではとまさかそんなことを恐れているのでしょうか?
 何べんも申し上げますが、市役所の耐震不足の問題は大きな費用が掛かろうと必ず解決しなくてはいけないものと我々は考えます。なぜなら、それは人の命に係わる問題だからです。
 今回は、新市庁舎整備基本計画に係る予算も出されておりますが、早く事業費の詳細、市負担額を明らかにすべきと申し上げるとともに、市の負担額、市債発行額の見込みを示さないまま、強引に事業を推し進めようとする市の姿勢には看過することはできません!

次に2点目、「市民との合意形成」に関する観点から問題を指摘します。

市民と若手市職員がメンバーになっているワークショップ「MATSUDOING 2050」が、昨年8月から全6回の予定で開催されており、これまでに5回開催されています。このワークショップでは、「30年後を見据えて新拠点ゾーンを含めた松戸駅周辺で必要とされる公共空間について議論し考える場」としています。

今回、市が新拠点ゾーンに市役所を移転させることを前提した本予算を計上していることを、複数の参加者に情報共有したところ、「ワークショップのなかで新拠点ゾーンに市役所を移転させようという意見集約に至っていなし、そもそも新拠点ゾーンに市役所を移転させる案について説明を受けていない。大変に残念な気持ちだ」ともおっしゃっていました。

今回のように予算建てをし、基本計画策定を進めようとするのであれば、ワークショップのなかで正々堂々と「新拠点ゾーンに市役所を移転すること」についても議題にあげて、市民と市職員が一緒になって議論し考えるべきだったのではないでしょうか。それが市のあるべき姿勢だったのではないでしょうか?
今回、市民と行ったワークショップをもって新拠点ゾーン開発での市民合意を図ったと仮に、するならば、それは単に「市民合意形成のアリバイ作り」とされてもしかたないものと考えます。

5.土地区画整理関係業務について

次に土地区画整理事業のうち常磐線快速列車新松戸駅停車調査業務2822万円についても、「調査を進めようとする市の姿勢」「地権者の強い抗議」という2つの重大な問題について指摘させていただきます。

まず1つめ、「調査を進めようとする市の姿勢」に関する問題です。
これまでに市は6000万円を超える市税を投入して調査を行い、快速列車の停車が「技術的に可能」と結論付けたとしています。しかし、審議のなかで「技術的に可能」としたのならその中身について詳細を教えてほしいと質問しましたが、執行部からは「お示しできない」との答弁でした。6000万円もの市税を投入して調査した結果を示そうとしない市の姿勢は問題だと思います。また、非公表となったために、新松戸駅への快速列車停車で「ホームの増設が必要なのか」や「線路等の用地を確保する必要があるのか」等の課題が、どうなるのか、また実際にどのようにして停めるのかの想像もつかず、今回の調査予算がはたして有効なものなのかの判断はいまだにできておりません。
 また、「今回のJRによる調査は、市は停車が可能かの最終判断がつくような調査なのか?」
「それともまだ調査は来年度以降も続くのか?」と聞きましたが、「調査により新たな課題が生じる可能性があり、判断つくかはわからない」との趣旨の答弁がありました。
 どうやら今回の調査で終わることは無さそうなので、再び、「区画整理事業との兼ね合いもあるので、市はいつまでに判断するのか?いつまで調査を続けるつもりか?」と聞きましたが、明確な答弁はありませんでした。
調査をいつまで続けるのかも示さない。また、多額の税金を費やして調査し、その結果を得ていながら、その中身は教えない。だけど、次に行う調査予算はまた認めろというこうした市の姿勢は横暴だと思います。(6000万円という金額はそんなに安いものではないはずです!)
「技術的に可能とするその根拠」や「見込まれる調査の期間」など必要な情報を議会や市民にしっかりと示し、それが妥当なものなのか検証する機会を市は提供すべきではないでしょうか?

2つめに「地権者が強い抗議をしている問題」を挙げたいと思います。3月16日に地権者から市長に対して意見書が提出されており、この意見書には「常磐線快速電車停車予定の土地は民間の私有地であり、その土地所有者である意見書提出者の同意もなく、勝手にその土地の利用計画し、そのための調査をしようとしていることに強く抗議する」という趣旨の記載がされています。この意見書通りであれば、市は地権者の理解を得ずに勝手に民有地利用を前提とする調査予算の計上をしたことになり、そうした民有財産を軽視する松戸市の姿勢は批判されるべきと指摘します。
以上のように本事業は、2つの重大な問題があり、こうした問題をないがしろにして、さらなる調査予算を認めることはできません!

6.松戸都市計画事業新松戸駅東側地区土地区画整理事業特別会計について

最後に、議案第70号松戸都市計画事業新松戸駅東側地区土地区画整理事業特別会計予算についても問題点を大きく3点、指摘したいと思います。

◎まず、「財政面からの問題」を、2点の指摘をします。

1点目は、松戸市全体としての財政面の問題についてです。本事業計画に投入する市税投入額としては、区画整理に約65億円、道路整備に約11億円、合計約76億円を見込んでおりますが、市役所の建て替えや新焼却炉建設をしなければならないという今の本市おいてこの事業を先に優先して行う根拠は何なのかがわかりません。また、多額の予算が必要な立体換地による区画整理事業ではなく、よりコストがかからない道路整備事業など他の手法の検討が十分にされているか疑問が残ることも問題であると思います。

2点目は、立体換地建築物保留床の赤字での販売計画についてです。昨年8月に作成された当該区画整理事業の事業計画書によれば、保留地処分金は約92億円で、そのうち保留床部分の処分金は71億2000万円となっており、土地部分の価値は差し引き約20億円強ということになっています。
一方、立体換地建築物、14階建てマンションの総建設費は約105億円、しかしこの費用には販売しない権利床分も含むため、保留床部分だけの建設費をお聞きし、答えは約90億円ということでした。このことから、保留床の販売は、約90億円をかけて建てたものを71億2000万円で販売するもので、約18億8千万円もの赤字がでる計画であることが明白となりました。事業資金確保のため、保留地を販売するという区画整理の一般概念には程遠く、保留地販売で逆に損を出し、そのため余計に税金を投入するという計画であるように思え、それは税金の使い方として市民の納得を頂くことは極めて難しいと、指摘せざるを得ません。

◎次に「地権者合意形成の問題」についてです。

先般の委員会質疑のなかで「12月下旬に12名の連名で、市に要望書が提出されている」ことについて伺いました。要望書の内容を伺ったところ「事業内容の見直しを求めるものだった」と答弁があり、それに対して「土地区画整理事業に反対という理解でよいか」と質問したところ、「市としては賛成と捉えている」という、極めて理解しがたい答弁がありました。今回の要望書が「事業内容の見直しを求めるものだった」ことから、12人の方は少なくともこの事業計画での土地区画整理には「賛成していない」ことが明らかになったと受け止めるべきではないでしょうか。以前、9割方の地権者が賛成しているとした市の答弁がありましたが、それから大きく賛成者が減少していると思います。地権者の意向を丁寧に聞きながら合意形成を図ってまいりたいといいつつも、実は意向を把握できているのか、自分たちに都合の良いようにしかとらえていないではと疑問が残ります。
最後3つ目、「手続きの不透明さ」についてです。
立体換地に関するアドバイザリー契約について、公募型プロポーザルを行ったものの、公募期間が約一週間という極めて短い期間であったことや、応募条件が厳く、結果、現在の業者(地権者が三菱地所を紹介してきと、市が12月市議会で答弁しています)が選定されるべく選定されたような印象をうけています。また、その契約は「無料」ということも、明らかとなっており、なぜ民間の会社が?と、疑問の声が市民から挙がっています。また、市が建設したマンションの保留床部分を、公募により販売することになっていますが、先ほども述べたように計画上は赤字であり、安く購入する業者には極めて有利とみられます。また無料で現在、契約をしている業者も応募できるとのことなので、仮にこの業者が購入者となれば、「一体だれのための区画整理か!」とさらに疑問の声が挙がるのではないでしょうか。
このように、土地区画整理関係業務は多くの問題があり、とても賛成できるものではありません。
 7.まとめ
以上、今回、修正削除しようとした事業について、それぞれ問題点の詳細を申し上げてまいりました。
現在、松戸市は「市役所建て替え」「新焼却炉建設」「学校施設の長寿化と公共施設再編」「新松戸駅東口の立体換地を伴う土地区画整理事業」「新松戸駅への快速列車を停車させるための事業」など多額の予算が必要な複数の大型事業が進められようとしています。しかし、新松戸の区画整理事業を除いて、事業の費用がいくらになるのか、伴い見込まれる市の負担額、市債発行額は現在まで明らかにされておりません。
これで、どうして事業を進めるか否かの判断を我々議員がすることができるのでしょうか?
しかし、市にとって必ず行わなくてはいけない事業、マストの事業はやはり行わなくてはなりません!
なので、重要なのは、これら大型事業の市負担額を一刻も早く明らかにして、市の財政、とりわけ市債残高と照らし合わせその実現性や将来負担等を議論し、早く決めて実現していくことであると思います。
それが大型事業実現への早道であり、計画を早く進めるため、あえて市負担額を明らかにしないでいるかのような今の市のやり方、それは決して早道ではないし、決して正しいものではないとここで断言したいと思います。我々も大型事業の多くはいずれ市民のためになるものとは考えます。しかし、今は厳しい現実を見つめ、早くやらなくてはいけないものを先に行うよう、優先度をつけて行うことが、将来をみた責任ある財政運営となるのではないでしょうか。
現状の市のやり方を見ていると、こうした責任ある財政運営の姿勢とは残念ながら思えず、あえて情報を制限し、早く議会を通し、簡単にできることから行っていこうという安易な姿勢にも見えてしまいます。
市民の代表であり、行政をしっかりチェックすることが役目の我々市議会議員ははたしてこうした姿勢を許していいのでしょうか?あえて繰り返し皆様に申し上げますが、市負担額などを明らかにしないで、強引に計画を進めるような市の姿勢は本当に正しいものなのか?市民のためになるものでしょうか?
今まさに、我々は決断をすべき時と確信します。
それでは最後に、議会として、こうした市のやり方は絶対に認めない!はっきりとNOを突きつけましょうと強く皆様に呼びかけまして、令和2年度松戸市一般会計予算ならびに新松戸東側区画整理事業特別会計予算への会派を代表しての反対討論とさせて頂きます。
皆様のご賛同をよろしくお願いいたします!ありがとうございました!